発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012314031
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69歳男。黒色便を主訴とした。約6ヵ月前に大細胞癌成分が優勢の多形癌に対し、胸腔鏡補助下右上葉切除リンパ節郭清を受け、術後補助化学療法としてtegafur・uracilを内服中であった。大腸内視鏡で回腸末端に腫瘍を認め、生検で肺多形癌の転移と診断した。CTによる全身精査では他に明らかな転移を認めなかった。肺多形癌小腸転移と診断し、腹腔鏡下回盲部切除術を行った。術後はcarboplatin+irinotecan hydrochloride hydrateによる化学療法を4コース施行した。病理組織学的検査で回腸末端から回盲部にかけて6.0×5.3×3,0cm大の隆起性病変を認め、類円形、不整形の他にやや紡錘形の細胞もみられ、肺癌組織と類似していた。以上より、肺多形癌の転移と確定診断した。リンパ節転移は認めなかった。経過は良好で、術後1年6ヵ月の現在、新たな転移を認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012