発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200987
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50歳代男。腹部膨満感、嘔吐が出現し、腹部CTで小腸拡張、多房性の腹水貯留、肝の波状彎入像を認めた。腹水穿刺でゼリー状の粘液を吸引し、細胞診結果はClass IIIb、腹膜偽粘液腫疑いであった。開腹術を施行したところ、腹腔内に多量の粘液貯留を認め、大網と横行結腸は一塊となっており、盲腸部に腫瘍を認めた。回盲部切除、回腸瘻造設、腹水・腹膜腫瘤除去術を施行し、cisplatin(CDDP)50mgを腹膜内投与した。病理組織所見は虫垂漿膜下組織を中心に小嚢胞状の粘液を貯留した腔が目立ち、円柱状の腫瘍細胞のliningや乳頭状増生を認め、粘液癌と診断された。術後7日目にmitomycin C 10mgを、14日目と31日目にCDDP 50mgを腹腔内投与すると共に、22日目よりfluorouracil/levofolinate療法を2クール施行し、71日目よりtegafur-uracil/folinate療法を開始した。術後5年4ヵ月経過し、腫瘍マーカー高値と腹腔内多房性嚢胞性病変を認めるが、遠隔転移はなく化学療法継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010