発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210156
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77歳女.転倒して前胸部を強打し,その後前胸部痛と血痰混じりの湿性咳嗽が持続した.CTで上行大動脈の基部から近位弓部に限局する解離を認め,解離腔はほぼ血栓化していた.最大短径は48mmで,ほぼ中央に内膜亀裂(ULP)を認めた.また,両側肺門に出血と思われる浸潤影を認めた.降圧療法と絶対安静で肺出血の鎮静化が得られた後,開胸術を施行した.大動脈遮断下に上行大動脈を縦切開したところ,上行大動脈後壁の右肺動脈交差部にULPを認めた.心停止とした後,sino-tubular junctionの5mm頭側で大動脈を離断した.大動脈基部はTeflonフェルト帯で補強し,断端形成を行った.逆行性脳灌流を開始し,open distal法で大動脈弓部小彎側に切開を延長し大動脈弓部を観察したが,ULPは認めなかった.遠位側断端もフェルト帯を用いて断端形成し,径26mmのwoven-Dacron人工血管を用いて近位側部分弓部置換を施行した.術後経過良好で,第23病日に軽快退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2006