発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006225126
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15歳男.10年前交通事故で右脛骨骨折を来たし,保存的治療で治癒していた.今回,右下腿前面に腫瘤が出現,徐々に増大し,歩行時に右下肢脱力感が生じた.右前脛骨筋部に8×2cmの境界明瞭,弾性軟の腫瘍を認め,圧痛,可動域制限はなかった.MRIで前脛骨筋部に筋膜の欠損を認め,前脛骨筋の前方への突出を認めた.筋ヘルニアと診断し,7ヵ月間の経過観察後,患者希望により手術を行った.腫瘤の直上に12cmの縦切開を加え,前脛骨筋の筋膜の一部が脛骨付着部付近で縦方向に断裂し,筋膜欠損部より前脛骨筋が一部はみ出し膨隆していた.周囲の筋層は菲薄であった.ポリプロピレン製メッシュプラグを適当な形に切り,筋膜欠損部に当て,周囲を縫合することで筋膜を補強した.術後2週間はスポーツ禁止とし,術前の症状は消失した.手術部皮膚の隆起や整容上の問題はなく,術後6ヵ月現在再発はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006