発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060412
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63歳女。胸部異常影を主訴とした。左肺下葉発生の原発性肺癌の疑いで胸腔鏡下肺部分切除術が行われたが、術後4ヵ月目頃より胸やけ・食思不振が出現し、胸部単純CT冠状断像で胃底部の胸腔内脱出を認めた。術後性横隔膜ヘルニアと診断して手術を行ったところ、横隔膜から脱出した健常な胃底部と大網を認め、胃底部を還納してヘルニア門を閉鎖した。再手術後は症状が軽快し、再ヘルニアを認めていない。本症例では初回手術で腫瘍と横隔膜の癒着を剥離した際に、明らかな腹膜の損傷はなく横隔膜筋層も一部残っており、術後2ヵ月経過時点でも問題もなかったが、横隔膜ヘルニアが発症した。何らかの腹圧上昇が原因と考えられ、横隔膜筋層を剥離する際に横隔膜の直接縫合による補強が必要であったと思われた。
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