発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332098
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
47歳女性。患者は高血圧および高脂血症にて近医へ通院中であったが、胸部単純X線にて右横隔膜付近の異常影を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、胸部X線では右下肺野に横隔膜と鈍角に接する径3.5cmの腫瘤影がみられ、胸部CTでは右横隔膜に接する約3cm大の分葉状で肝臓と等濃度、一部線状に低濃度な部位を含む腫瘤が認められた。また、胸部MRIでは腫瘤は横隔膜と鈍角をもって接し、肝臓とほぼ等信号、かつ肝臓より血管が走行していた。以上より、本症例は分葉状横隔膜腫瘍が疑われ、胸腔鏡併用手術を行ったところ、手術所見では右横隔膜腱中心上の欠損孔を通して、計4ヶ所から肝臓が集簇して突出し、更に突出した肝臓の周囲には横隔膜の菲薄化または径3~6mmの、全層にわたる欠損が認められた。肝臓ヘルニアと診断され、脆弱で菲薄化または欠損した横隔膜を切除し、肝臓を腹腔内に環納し、横隔膜を全層縫合後閉鎖し、手術を終了とした。
©Nankodo Co., Ltd., 2010