発行日 2011年11月1日
Published Date 2011/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012184031
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症例は68歳男性で、呼吸困難を主訴とした。43歳時に前医にて急性骨髄性白血病に対しadriamycinを投与され、その後、adriamycin心筋症と診断されていた。New York Heart Association分類III度で高度心機能低下をきたし、左室再同期療法(CRT)の適応と判断した。CRT植え込みを行ったが、心不全を繰り返した。超音波検査よりadriamycin心筋症の僧帽弁閉鎖不全症と診断し、僧帽弁置換術と乳頭筋接合術を施行した。病理組織学的所見で心筋細胞は不揃いで狭小化および空胞化し、間質には線維化がみられており、adriamycin心筋症の所見であった。術後経過は良好で、左室収縮能は改善し、左室容積も減少した。術後30日に独歩軽快退院となり、1年後の現在まで再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011