発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236408
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32歳男。呼吸苦が出現し、検査所見および心電図、胸部X線より胸膜炎、心膜炎の疑いで入院管理となったが、翌朝突然の呼吸苦増悪を来たした。心エコーで左房の拡大、僧帽弁前尖の著明逸脱、Sellers分類IV度の重症僧帽弁閉鎖不全を認め、僧帽弁前尖には断裂した腱索あるいは乳頭筋の異常像があった。緊急冠状動脈造影で右冠状動脈seg#2での完全閉塞を認め、経皮的冠状動脈形成術(PCI)により血流再開した。PCI施行後血圧低下が持続し、大動脈バルーンパンピング(IABP)を開始した。急性心筋梗塞に合併した僧帽弁乳頭筋断裂、僧帽弁逆流症と診断し、準緊急手術を施行した。完全体外循環、心停止下に左房切開し、僧帽弁前尖の高度逸脱および前乳頭筋の完全断裂を認めた。乳頭筋から腱索を含めた前尖・後尖を切除し、St.Jude Medical弁31mmを用いて僧帽弁置換術を施行した。術後3日目にIABPから離脱し、リハビリを継続して43日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008