発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012171416
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74歳男性。胸部異常陰影を主訴に受診、胸部X線で右上葉に2.3cmの結節陰影が認められ、気管支鏡にて肺腺癌と診断された。治療として右上葉切除と右下葉の8×5cm大のブラ切除が行われたが、術中にブラ切除ラインからの気漏が多いことから、フィブリン製剤が使用された。以後、手術8日目に右下葉の肺炎を生じ、抗生物質による治療が行われ平熱となり、白血球やCRPも改善したが、術後17日目より好酸球性胸水の貯留が認められた。そこで、抗生物質を中止としたが、術側の胸水貯留は進行し、胸水ドレナージを2回行うことで胸水貯留の増悪なく、32日目に軽快退院となった。尚、術側の好酸球性胸水の増加とともに末梢血中の好酸球数とCRPの上昇、あるいは血清IgE値の上昇が認められたことは、術後3ヵ月目のDLSTでフィブリン糊の陽性が確認されたことからも、術中に使用したフィブリン製剤に起因するアレルギー反応と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012