発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008148990
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63歳男。約2ヵ月前からの発熱と咳嗽、および約1ヵ月前からの右側胸部痛を主訴とした。入院時検査にて高度な炎症所見を認め、胸部X線・胸部単純CTで右側胸水貯留と、中葉に内部に低吸収域を含む径6cm大の腫瘤陰影を認めた。肺膿瘍および膿胸の診断で、抗生物質点滴静脈注射を開始し、胸腔ドレーンを挿入した。胸水は好中球が優位の滲出液で、胸水培養にて菌の検出は認めず、肺炎随伴性胸水と考えられた。抗生物質加療後1週間で症状および炎症所見の改善がみられたが、11日目に再度38度台の発熱があり、胸部CTにて水気胸および中葉の腫瘤陰影の消失を認めた。肺膿瘍の破裂による有瘻性膿胸と診断し、胸腔ドレナージを入れ替えるもドレナージ効果不良で、入院後18日目に胸腔鏡下手術を施行した。術中採取した膿および膿瘍壁の培養にて菌の検出は認めなかった。術後7日目に炎症反応は正常化し、胸部CTにて中葉の含気の回復と膿胸腔の縮小を認めた。術後3週目に退院し、以後再燃は認められない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008