発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2004199697
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
超音波メスを用いて肺区域切除を行い,肺切離端を吸収性縫合補強材にて被覆する手法を考案し,その有用性を検討した.早期・小型肺癌4例,再発肺癌2例,転移性肺腫瘍3例の合計9例を対象として超音波凝固切開装置にて区域切除術を施行し,肺切離端の被覆には2例にシート状フィブリン接着剤を,1例に吸収性ポリグリコール酸(PGA)メッシュ+フィブリン接着剤を,6例にPGAフェルト+フィブリン接着剤を用いた.術後にそれぞれの症例について肺瘻の有無とその持続期間,残存肺の膨張状態を検討した結果,PGAフェルトとフィブリン糊による被覆では術後気漏期間は平均3.3日と短く,他と比較して早期にドレーン抜去が可能であった.また,全例で術後早期より残存肺の良好な膨張が得られ,術後1年以上経過するとPGAフェルトは吸収され消失した.本法は自動縫合器を用いた肺区域切除よりも残存肺区域の容量が温存できる有用な手法であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004