発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012171406
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著者らが手術を行った左室駆出率(LVEF)30%以下の虚血性心筋症24例について検討した。方法は24例それぞれを左室の容量と施行手術によりLVDd<60mmで冠動脈バイパス術(CABG)のみ施行した8例(CABG-S群)、LVDd≧60mmかつLVESVI<100ml2でCABGのみ施行した9例(CABG-L群)、LVDd≧60mmかつLVESVI≧100ml/m2でCABGに左室形成術(SVR)を併施した7例(SVR群)に分類し、これらを比較した。その結果、NYHA心機能分類はCABG-S群、SVR群で術後有意な改善が認められたが、CABG-L群では有意な改善は認められなかった。左室容量はSVR群では改善傾向を示したが、他の2群では有意な変化を認めず、LVEFはSVR群、CABG-L群で有意な改善、CABG-S群で改善傾向が示された。術後5年時の全生存率はSVR群100%、CABG-S群83.3%、CABG-L群62.2%で、SVR群とCABG-L群で有意差がみられた。尚、術後5年時の心事故回避率はCABG-S群100%、SVR群66.7%、CABG-L群46.7%で有意差はみられなかった。以上より、進行した虚血性心筋症ではSVRは症状、心機能、生命予後の面でCABG単独よりも有効であることが示唆された。
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