虚血性心筋症に対する外科治療戦略
虚血性心筋症に対する左室形成術
戸田 宏一
1
,
藤田 知之
,
島原 佑介
,
佐藤 俊輔
,
小林 順二郎
1国立循環器病研究センター 心臓血管外科
キーワード:
一回拍出量
,
術後合併症
,
心臓容積
,
冠状動脈バイパス術
,
院内死亡率
,
心筋虚血
,
治療成績
,
心室形成術
Keyword:
Coronary Artery Bypass
,
Cardiac Volume
,
Postoperative Complications
,
Stroke Volume
,
Treatment Outcome
,
Myocardial Ischemia
,
Hospital Mortality
pp.997-1001
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012139103
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虚血性心筋症に対する左室形成術の術式を紹介し、同手術34例(平均63±9歳)の成績を報告した。適応は、New York Heart Association(NYHA)分類II度以上の心不全症状があり、左室前壁中隔のバイアビリティーが乏しく、左室収縮末期容積係数(LVESVI)≧100ml/m2の症例とした。その結果、病院死亡は2例で、いずれも左室形成+冠状動脈バイパス術+弁輪形成を施行したが、術後低心拍出症候群のため死亡した。生存例の平均LVESVIは術前112ml/m2から術後62ml/m2に減少し、左室拡張末期容積係数、左室駆出率とともに有意な改善を認めた。心不全状態は全例NYHA分類II度以下で退院し、術後1年目は平均1.5度と有意に改善した。心エコーでは僧帽弁逆流の程度が術後3年まで術前よりも有意に低くコントロールされ、左室拡張末期径も有意に縮小した。術後累積5年生存率は70%で、心事故・死亡回避率は4年で72%であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011