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虚血性心筋症に対する外科治療戦略を紹介し、73例(男61例・女12例・平均65.6歳)の成績を報告した。73例中65例に左室形成術を施行し、瘢痕化内膜切除を45例、冷凍焼灼術を10例に追加した。僧帽弁手術(弁輪形成術(MAP)/弁置換術(MVR))は13例で、69例にCABGを併施した。その結果、在院死2例、1年以内死亡2例で、これらを除き左室駆出率、肺動脈圧(PAP)は有意に改善し、左室拡張末期容積係数(LVEDVI)、収縮末期容積係数(LVESVI)は有意に縮小した。左室形態は球状化したが、僧帽弁逆流(MR)grade、New York Heart Association(NYHA) statusは有意に改善した。左室形成術(LVR)(内訳はDor術41例、linear closure法16例、septal anterior ventricular exclusion4例)を行った症例では、3群共に術後左室は有意に縫縮されていた。また、3度以上のMRを伴う症例に僧帽弁手術(内訳は単独MAPまたはMVR8例、MAP+LVR5例、2.5度のMRを認めた単独LVR11例)の結果、3群共に術後左室は有意に縫縮されており、MR gradeも有意に改善していた。遠隔死亡は9例で、在院死を含む生存率は1年95.3%、8年77.3%であった。全死亡・心事故入院は死亡5例、心不全9例、除細動器植込み、心内膜炎各1例で、回避率は1年84.3%、8年71.1%であった。Coxハザードモデルによる単変量解析では術前LVEDVI・LVESVI、術後LVESVI、術後PAP、術後MR grade、術前NYHA status高値が、多変量解析では術前LVEDVI・NYHA高値が全死亡、心事故入院に関するリスク因子であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011