虚血性心筋症に対する外科治療戦略
虚血性心筋症に対する左室縮小形成術は有効か STICH trialと自験例からの検証
古梶 清和
1
,
工藤 樹彦
,
四津 良平
1慶応義塾大学 心臓血管外科
キーワード:
一回拍出量
,
心臓容積
,
左心室機能障害
,
重症度指標
,
心筋虚血
,
Dor手術
,
Kaplan-Meier法
Keyword:
Cardiac Volume
,
Severity of Illness Index
,
Stroke Volume
,
Myocardial Ischemia
,
Ventricular Dysfunction, Left
,
Kaplan-Meier Estimate
pp.1002-1006
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012139104
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虚血性心筋症に対する左室縮小形成術の術式を紹介し、同手術33例(男27例・女6例・平均61歳)の成績を報告した。対象例中31例はNew York Heart Association(NYHA)分類III度またはIV度の心不全を呈し、60%の症例は要治療の心室性不整脈を合併していた。術前左室収縮末期容積係数(LVESVI)の中央値は112ml/m2で、術後の左室縮小率は49±12%であった。入院死亡は3例で、肺炎1例、心室頻拍2例であった。他の30例は退院時にNYHA分類I~II度へ改善した。平均観察期間80ヵ月で、5年生存率は80%、7年76%、10年76%、心事故回避率は順に55%、44%、44%であった。死亡例の術前LVESVIは平均148±33ml/m2と生存例の107±29ml/m2に比べて有意に大きかった。既往報告のSTICH trialと比較すると、自験例では左室容積が大きく、術前状態の悪い症例が多かったが、左室をより縮小させることで5年生存率、心事故回避率とも10%以上上回る成績が得られた。
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