発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011288497
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60歳男性。脊柱管狭窄症の術前精査中に縦隔腫瘍を指摘された。胸部単純X線では心陰影に重なる12×9cmの腫瘤がみられ、胸部造影CTでは胸椎椎体前面と心嚢の間に辺縁明瞭な9×5×6cm大の腫瘤が認められた。また、第9肋間の肋骨角部に2×2×0.8cm大の胸壁腫瘤がみられ、胸部MRIでは縦隔腫瘤はT1で低信号、T2で高信号を呈していた。更にこれらの所見に加え、全身皮膚には多数の褐色斑と皮下結節が認められ、von Reckilinghausen病に合併した神経原性腫瘍の重複発生が疑われた。以後、手術が施行された結果、縦隔腫瘤の上下は迷走神経本幹と連続しており、上下で神経を切断後、腫瘍を摘出した。そして、第9肋間の腫瘤の摘出を行ったところ、肋間神経との連続性も確認された。以上より、本症例は最終的に縦隔腫瘤および胸壁腫瘤とも神経線維腫と診断された。尚、術後は経過良好で、7日目には退院となった。
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