発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106132
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49歳男。労作性呼吸困難、溶血性貧血、黄疸を主訴とした。大動脈炎症候群により機械弁による大動脈弁置換術後、凍結保存同種大動脈弁(allograft)を用いて基部置換術が施行されていたが、15年経過後に高度大動脈弁狭窄、中等度の大動脈弁逆流を認め、CTおよび胸部X線像でallograft全層の石灰化および胸骨裏面との高度癒着、埋入が確認された。再大動脈弁基部置換術の際には、補助手段として体外循環確保後の冷却・循環停止による胸骨切開および選択的脳灌流を行い、左冠状動脈基部の石灰化を剥離して基部再建を完了した。本症例ではステロイド投与とallograft自体の抗感染性により人工弁脱落は免れたものの、比較的若年での移植や大動脈炎症候群の病態がallograftの石灰化を増強したと考えられ、全身の定期的かつ厳重な経過観察が必要であると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011