発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106133
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2ヵ月女児。哺乳不良、顔面蒼白を主訴とした。出直後の心エコーで完全大血管転位症と診断され、2本の冠状動脈口が同一のValsalva洞から起始し、その距離が2mm以下と近接していたため、Aubert-Imai変法が施行されていた。入院時所見より急性冠症候群が疑われ、緊急心臓カテーテル検査で異常組織増生による冠状動脈狭窄を認めたため、緊急手術を行った。病理所見より大動脈の口径差を合わせるために用いたウマ心膜パッチに線維組織が増生したことと、大動脈-肺動脈間の冠状動脈口直上に向かう切り込み(A-P window)が比較的浅かったことが冠状動脈口への干渉を招いたと考えられ、再手術時にはA-P windowを深く切り込み、冠状動脈口と人工物との干渉が起こらないように工夫した。再手術後1年経過現在、冠動脈イベントはないが、退院後も厳重な経過観察が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011