発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017209368
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44歳女。グラフト瘤拡大を主訴とした。27年前に大動脈炎症候群の診断で上行大動脈-腹部大動脈バイパス術を行ったが、経過観察中にグラフト拡大(60mm)を認めた。症状はなく、血液検査所見に明らかな異常はなかったが、CT所見で胸腹部移行部のグラフト血管に7cm長にわたって44mm径のグラフト瘤が描出され、さらに背側への瘤突出と60mm径の仮性動脈瘤を認めた。グラフト仮性動脈瘤の破裂予防を目的として胸部ステントグラフト内挿術を行い、術後2年経過現在、エンドリークは認めていない。本症例ではグラフトの長期開存は良好で、非解剖学的バイパス術後の血圧は正常化しており、7cm長にわたるグラフト拡大はグラフト自体の劣化が原因と考えられたが、一部破綻して仮性瘤を形成した部分は横隔膜との接触による外的要因があると推測された。
©Nankodo Co., Ltd., 2017