発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292655
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
57歳女。39歳時に大動脈炎症候群と診断され加療中、腹部大動脈狭窄による難治性の腎性高血圧のため手術目的で当科受診した。胸腹部CTで下行大動脈末梢から腹部大動脈に及ぶ高度の内腔狭窄を認め、胸部大血管3D-CTでは右鎖骨下動脈起始部に高度な狭窄があり、胸腹部移行部に石灰化と内腔狭窄を認めた。狭窄部バイパス術を施行し、術野エコーで上行大動脈壁の性状を確認後、部分体外循環の補助循環量を調節して収縮期体血圧を下げ、上行大動脈を部分遮断して切開し、直径14mmの人工血管を端側吻合で縫着した。人工血管は心嚢内から横隔膜を貫き、肝左葉と胃の背側、膵腹側を走行し、下腸間膜動脈上の腹部大動脈に誘導した。補助体循環流量を調節して体血圧をコントロールしながら腹部大動脈吻合部の中枢側・末梢側を遮断し、人工血管の末梢側吻合を完了した。術後上下肢の血圧所見は改善し、遠隔期の血圧もコントロール良好となり、レニン活性も正常化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011