発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106131
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39歳男。腰部痛を主訴とした。心エコー所見、CT所見より偽腔開存型の急性大動脈解離(Stanford A型)および大動脈弁輪拡張症と診断し、胸骨正中切開でBentall手術+弓部大動脈全置換術を施行した。本例にMarfan症候群やLoeys-Dietz症候群を示唆する身体所見はなかったが、家族歴に大動脈解離、大動脈瘤、原因不明の突然死の症例が多く、遺伝的素因の関与を疑って遺伝子解析を行った結果、原因遺伝子は非一塩基多型でかつヘテロ接合性変異を有する遺伝子と考えられ、エキソン9のミスセンス変異を有するTransforming growth factor-β receptor type 1が本例の原因遺伝子と推察された。身体的特徴を持ち合わせない遺伝性大動脈疾患は少なからず存在するため、大動脈疾患例では家族歴にも注意して診療にあたるべきであると考えられた。
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