発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199003
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多発原発性肺癌(多発肺癌)14例(男7例、女7例、平均年齢64.5歳)を対象に手術適応・術式・適応について検討した。同時性多発肺癌8例、異時性多発肺癌6例であった。同時性多発肺癌の8例中、片側のみの病変は3例、両側は5例であった。片側性の症例には全例一期的に縮小手術を施行した。3例とも無再発生存中であった。両側性病変には二期的手術を施行した。当初1病変のみの手術を考慮した3例には初回は肺葉切除術で2回目は縮小手術、当初から全病変に対する手術を考慮した2例には両回とも縮小手術を施行した。無再発生存中2例、癌死2例で1例は経過観察脱落であった。異時性多発肺癌では初回手術は全例に肺葉切除以上の標準手術式、2回目は縮小手術を施行した。無再発生存中4例、癌死2例であった。多発肺癌全体の最終術後の5年生存率は59.0%であった。予後に関して、同時性と異時性の両群間に有意差は認めず、病変の組織型では腺癌のみ群が非腺癌を有する群より有意差はないが良い傾向を示した。以上より術前に多発肺癌を疑う症例は手術による完全切除を考慮し、初発の早期肺癌には肺機能温存を考慮した積極的な縮小手術も導入すべきと考えた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010