発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060415
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49歳女。労作時呼吸困難感、黄疸を主訴とした。1986年(25歳時)に活動性感染性心内膜炎に対してCarpentier-Edwardsウシ心嚢膜生体弁23mmを用いた大動脈弁置換術が行われ、術後経過は良好であったが、2009年6月頃より黄疸と心不全を認めた。検査所見では溶血性貧血を認め、心エコーにて人工弁機能不全による大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症および心不全と診断されたため、大動脈弁位生体弁機能不全に対して再大動脈弁置換術を行ったところ、術後は良好に経過し、溶血性貧血は改善した。摘出標本所見では各弁尖は著しく硬化、石灰化して左冠尖辺縁には裂開が認められ、石灰化による大動脈弁の可動性低下や左冠尖の裂開が大動脈弁狭窄症や全身性黄疸、急性心不全の原因と考えられた。構造的弁劣化発生率の高い若年者において、23年の再手術回避は極めて稀である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010