発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005166481
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76歳女.2年前に左肺扁平上皮癌で左S1+2,S6部分切除の既往歴があった.外来観察中に咳嗽が持続し,X線像にて胸部異常影の出現を認めた.ESR亢進とツベルクリン反応陰性以外に血液・生化学検査で異常は認めず,喀痰検査,気管支鏡下擦過細胞診でも悪性所見はなく,結核菌・真菌とも陰性であった.胸部CT所見では既往の部分切除部位付近に気管支の透亮像を伴った境界不鮮明な腫瘤影を認め,肺癌再発の疑いで開胸術を施行した.腫瘤の術中迅速診断で悪性所見は認めず,瘢痕組織のみとの結果を得,自動縫合器で部分切除した.内部は空洞で,黄白色調の壊死様内容物の中には前回の部分切除時に縫縮で使用したナイロン糸を認めた.病理組織像より縫合糸周辺にリンパ球浸潤を伴う慢性炎症性肉芽腫を認め,内容物の培養よりAspergillus fumigatusを認めた.以上より,Aspergillus感染を合併した縫合糸肉芽腫と診断した.術後経過は良好で,退院後は約6ヵ月の予防的抗真菌薬投与を追加した
©Nankodo Co., Ltd., 2005