発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084588
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60歳代女性。食道扁平上皮癌に対して術前化学放射線療法後、胸腔鏡下食道亜全摘術+3領域郭清+腹腔鏡下胃管作製+食道胃管吻合術が施行された。病理組織学的所見はLtMt、CRT-pT2(T3)、pN4(No.106pre)、sM0であった。術後は経口摂取が不安定で1ヵ月半の入院を要したが、胸腹部CTにて異常所見なく退院となり、経過中においてイレウスなどの腹腔内圧が上昇する合併症は認められなかった。しかし退院1ヵ月後のCTにて横隔膜ヘルニアが認められ、胸腹部造影CTを行なったところ、食道裂孔ほか、胃管の患者左側から横行結腸の胸腔内への脱出を認め、横隔膜ヘルニアと診断された。絞扼性イレウスを疑う所見はなかったが、以後、前回手術から83日目に腹腔鏡下手術が施行された。その結果、術中所見では胃管の患者左側には40×50mmのヘルニア門が認められ、胸腔内には横行結腸が迷入しており、結腸を腹腔内に整復した後、ヘルニア門をゴアテックスパッチで閉鎖した。以後、経過は良好で患者は術後12日目に退院となった。以上より、胸腹鏡食道癌手術後の横隔膜ヘルニアは注意すべき術後合併症であり、その対策としての非吸収糸による食道裂孔の閉鎖および同疾患に対する腹腔鏡下修復術は安全で有益であると考えられた。
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