発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060409
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77歳男。労作時倦怠感を主訴とした。冠状動脈造影にて左冠状動脈#5 90%、#6 25%、#11 90%、右冠状動脈#2 100%の狭窄を認めたが、心駆出率は保持され、中隔枝から後下行枝への側副血行があったため、心拍動下冠状動脈バイパス術を計画した。前下行枝への吻合後、右冠状動脈への吻合操作に移る際に循環動態が不安定となったため、経皮的心肺補助装置(PCPS)を導入したが、PCPS開始37分後に大動脈解離を認め、送血管による逆行性大動脈解離と診断した。また、術後CTでは複数の肋間動脈を確認できたが、術後30時間に脊髄梗塞を発症し、その原因として逆行性動脈解離に伴う一時的な肋間動脈血流の消失と体血圧低下による一時的で直接的な脊髄への血流遮断が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010