発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005055351
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69歳男.近年喀痰が徐々に増加しており,半月前より時々血痰を認めていたが,今回喀血と呼吸困難にて救急外来を受診し緊急入院となった.入院時,胸部X線像にて右上肺野に肺炎様の浸潤影を認め,腫瘍マーカーは正常範囲であったが,入院後も喀血と呼吸困難が増強したため人工呼吸管理となった.挿管後の気管支鏡にて右肺に多量の血液貯留を認めたが出血部位は確認できなかった.人工呼吸管理と止血剤投与で呼吸状態は改善し,3日後には抜管できた.入院時,喀痰細胞診は腺癌の診断で,胸部CT所見では右肺S3の胸膜下に広がる浸潤影を認めたが,明らかな肺門縦隔リンパ節腫大や遠隔転移は認めず,右上葉の肺癌(cT2N0M0,stage IB)の診断で胸腔鏡下右上葉切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見から粘液産生型細気管支肺胞上皮腫(BAC),病理病期pT4N2M0,stage IIIBと診断された.多量の喀痰を伴う肺炎様浸潤影を認める症例では,BACの鑑別も必要であるものと考えられた
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