発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010054005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
42歳女。主訴は複視で、その後咀嚼時の疲れや四肢近位筋のだるさが出現した。テンシロンテストは陽性で抗アセチルコリン受容体抗体価・抗横紋筋抗体はいずれも高値を示し、胸部CT・MRI検査では大動脈弓部から横隔膜までの前縦隔に脂肪腫を認め、重症筋無力症(MG)を伴った胸腺脂肪腫の診断で拡大胸腺全摘術を施行した。切除標本は重量1500gで、腫瘍は病理組織学的に異型のない成熟脂肪細胞の増生よりなり、その中に島状に少量の胸腺組織を認め、胸腺組織内にはHassall小体を認めたが胚中心は認めなかった。術後10日目に退院し、3年6ヵ月経過現在、抗アセチルコリン受容体抗体価は依然高値であるが、MGの症状は軽快している。
©Nankodo Co., Ltd., 2009