発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130153
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18歳男.前胸部痛が出現し,胸部CTにて前縦隔に軟部腫瘤影を認め,3ヵ月後に腫瘤の形態変化を認めたため胸腺腫を疑った.入院時検査にて抗ヒトAchR抗体は陰性であったが,両側握力の低下および眼筋の筋力低下が認められ,Tensilonテスト陽性であったことから,重症筋無力症と診断した.胸部X線および胸部造影CTにて明らかな異常は認めなかったが,重症筋無力症に対し拡大胸腺摘出術を施行したところ,胸腺の一部に径1.5cm大の弾性軟な腫瘤を認め,術中迅速組織診断にて胸腺腫と診断された.永久標本によると,島状の胸腺組織と脂肪組織が混在しながら腫瘍を形成する所見が認められた.胸腺組織成分ではHassal小体を含む髄質と皮質が明瞭に形成され,さらに脂肪組織との境界部には上皮細胞が1列ないし重層性に配列しているのが随所にみられ,胸腺脂肪腫と診断された.術後経過は良好で,術後1ヵ月で筋無力症状の消失が認められた
©Nankodo Co., Ltd., 2005