発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014244271
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68歳男。64歳時に検診で最大径65mmの前縦隔腫瘍を指摘された。CTガイド下生検で胸腺カルチノイドと診断し、拡大胸腺摘出術を行った。リンパ節転移は認められなかったが、主病変のほかに10mm大の腫瘍が胸腺内に2個認めた。縦隔胸膜や血管への浸潤も認め、術後放射線療法をすすめたが本人の希望で経過観察のみ行った。外来の定期CTでふたたび前縦隔に40mm大と10mm大の腫瘤影が出現したため、再入院した。脳MRI・腹部CT・骨シンチグラムなどで全身精査を行い、他部位に転移巣がないことを確認後、二度目の手術を行った。初回手術時は胸骨正中切開であったため、右第3肋間前側方切開で開胸した。病理組織所見では、非定型カルチノイドの再発と診断した。右上葉と腕頭静脈への直接浸潤および胸膜播種を認めたが、切除断端はすべて陰性であった。術後経過は順調で合併症なく退院した。3年以上を経た現在も無再発生存中である。
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