手術の工夫
高度弁輪石灰化を伴う僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症に対する弁置換術
栗山 充仁
1
,
喜岡 幸央
,
田邊 敦
1福山市民病院 心臓血管外科
キーワード:
胸部X線診断
,
心エコー図
,
心臓カテーテル法
,
石灰沈着症
,
僧帽弁
,
僧帽弁狭窄症
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
冠血管造影
,
人工弁置換術
,
超音波外科
,
胸部CT
Keyword:
Calcinosis
,
Echocardiography
,
Cardiac Catheterization
,
Mitral Valve
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Mitral Valve Stenosis
,
Radiography, Thoracic
,
Coronary Angiography
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
,
Ultrasonic Surgical Procedures
pp.894-897
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013305783
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症例は80歳女性で、下腿浮腫、呼吸困難が出現し、胸部X線で心陰影拡大、肺水腫を認め、心臓超音波(UCG)で重症僧帽弁逆流(MR)による急性心不全と診断した。左室造影ではSellers分類IV度のMRを認め、左室駆出率75%で僧帽弁口面積1.67cm2の僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症の所見であった。CTで僧帽弁後尖弁輪の高度石灰化(MAC)を認め、心不全コントロール後に僧帽弁置換術を施行した。MAC部分を針糸が通過するか不明であったため、心室側から弁輪に向けてプレジェット付き2-0Ethibond Excelによる水平マットレスを全周におき、前尖のみ切除した。この時点で23mmの人工弁置換用サイザーは通過せず、超音波メスで弁輪部より内側の突出した石灰化部分を切除し、肥厚した心内膜は温存した。サイザー通過を確認し、SJM 25mm MJ機械弁を弁輪上側に縫着した。術後UCGで弁周囲逆流は認めず、人工弁・心機能は良好で、合併症なく17日目に独歩退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013