発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007346108
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82歳男性。胸部圧迫感を主訴とした。78歳時よりParkinson病にて加療中で、cabergoline投与開始後4年8ヵ月が経過していた。入院時現症として心尖部に収縮期逆流性雑音を聴取した。心電図所見で心房センシング、心室ペーシング調律、一過性の心房細動を認め、胸部X線所見では心胸郭比56%、少量の左胸水、右肺門部の浸潤影を認めた。心エコー検査所見で僧帽弁は左室側へ引き込まれることにより弁尖が接合せず、弁中央部から4度の逆流を認めた。心臓カテーテル検査所見では軽度の肺高血圧を認めた。内科的治療で心不全の改善傾向を認めず、僧帽弁閉鎖不全症に対し弁置換術を施行した。術中所見にて僧帽弁腱索の著明な肥厚、短縮を認め、病理組織所見では腱索の粘液変性を伴う著明な線維性肥厚を認めた。術後経過は良好で、Parkinson病治療のため術後約2ヵ月で転院となった。Parkinson病患者にcabergolineなどの麦角系アルカロイドを投与する際には、心臓弁膜障害を念頭に置いた心機能のフォローが必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007