臨床経験
心室中隔欠損を合併した感染性心内膜炎によるValsalva洞破裂
藤宮 剛
1
,
佐藤 洋一
,
貞弘 光章
1福島県立医科大学 心臓血管外科
キーワード:
Valsalva洞
,
血管瘻
,
心室中隔欠損
,
心膜
,
大動脈破裂
,
経食道心エコー図
,
心膜パッチ
,
疣腫-細菌性
Keyword:
Aortic Rupture
,
Heart Septal Defects, Ventricular
,
Pericardium
,
Sinus of Valsalva
,
Vascular Fistula
,
Echocardiography, Transesophageal
pp.439-442
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016303749
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41歳男性。幼少期に膜様部心室中隔欠損症(VSD)と診断されるも放置していた。今回、38℃台の発熱を自覚し近医を受診、抗菌薬投与にて経過観察されるも発熱を繰り返すため、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。血液培養でのStreptococcus mutansの検出ほか、臨床経過や心エコー所見より、本症例はVSDに合併した感染性心内膜炎によるValsalva洞破裂と診断され、抗菌薬の投与後、入院35日目に手術が施行された。手術は胸骨正中切開アプローチで行われ、大動脈基部に付着した疣贅を可及的に郭清して十分洗浄し、欠損孔および瘻孔をウシ心膜パッチを用いてそれぞれ閉鎖した。その結果、術後は感染の再燃なく良好に経過し、術後11日目に患者は独歩退院となった。尚、4週間の術後抗菌薬内服を継続し、目下、術後2年経過で感染の再燃や大動脈弁逆流は認められていない。
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