発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016323946
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77歳女。約1ヵ月前、37℃台の発熱を主訴に近医を受診し、尿所見から尿路感染症を疑われ投薬を受けた。今回、ふらつきを主訴に当院救急外来を受診し、心電図で完全房室ブロックを認め、緊急入院となった。諸検査の結果から感染性心内膜炎を疑い、Cefazolin sodium投与を開始した。血液培養検査の結果は、入院時および抗生剤中止後とも陰性であった。入院4週目にLevine分類IV/VI度の全収縮期雑音が前胸部広範囲に聴取され、胸部X線では心胸郭比が66%で入院時より10%増加していた。心エコー検査で右房内に突出する構造物の消失と、左室から右房へ通じる心内シャント血流を認め、手術を行った。石灰化している大動脈弁を切除して弁下を観察したところ、右冠尖と無冠尖の交連直下に脆弱な組織があり、これを摘除すると直径1cmほどの穿孔となった。次に右房を切開し、残存する疣贅を摘除したところ、辺縁のしっかりした穿孔があり、ここから挿入した消息子は、大動脈弁下の穿孔に通じた。左室側は自己心膜パッチで閉鎖、右房側はフェルト付き水平マットレス縫合で直接閉鎖し、大動脈弁はSJM Trifectaで置換した。術後3ヵ月目に感染の再燃がないことを確認してペースメーカ植込みを行った。
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