発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009071791
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37歳女。Basedow病の治療中で、偏頭痛および脳血管腫を指摘されていた。冷汗を伴う右胸痛を自覚し、血液検査でWBC上昇、貧血進行、低酸素血症を認めた。胸部X線で右肺野の著明な透過性低下と縦隔の左方偏位を認め、CTで右胸腔内に濃度上昇域が混在する大量の液体貯留が存在した。胸腔内出血による緊張性血胸と考え、緊急開胸術を施行した。右胸腔内には大量の凝血塊、血性胸水が貯留しており、右肺S7臓側胸膜面には露出する5mm大の白色調の異常血管を認め、出血を伴っていた。露出血管を含めて自動縫合器により肺部分切除を行い止血した。右胸腔内総出血量は2596mlであった。病理組織所見で、臓側胸膜面から突出する病変は、不規則に肥厚した血管壁様構造と、内腔には血栓を含む血液成分がみられた。CD34免疫染色で血管内皮が確認され、肺動静脈奇形の所見であった。術後経過良好で第8病日に退院し、追加の全身精査でも特に異常所見はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009