発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009042227
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52歳男。検診で胸部異常影を指摘された。血液生化学検査、腫瘍マーカーに異常はなく、呼吸機能検査では軽度の拘束性障害を認めた。X線で左主気管支透亮像内に円形の腫瘤影を認め、CTでは左主気管支内に内腔をほぼ閉塞する径1cmの円形腫瘤陰影を認めた。気管支鏡では気管分岐部より7~8軟骨輪末梢側に、気管膜様部を下にして右壁に茎を持つ隆起性腫瘤を認めた。生検で悪性所見は得られず、気管支原発の良性腫瘍として開胸術を施行した。腫瘍は左主気管支の中央付近に膜様部から容易に触知でき、同部を1軟骨輪楔状に切除し、断端を端々吻合した。病理所見で、腫瘍は粘液様の間質の中に好酸性の細胞質を持つ細胞が、結合性のゆるい胞巣を形成して増生していた。細胞質はPAS染色陽性を認め、免疫染色ではS-100蛋白陽性、アクチン、NSE、クロモグラニンA陰性であった。病理診断は気管支由来の腫瘍、多形腺腫であった。経過良好であり、術後9年で再発徴候はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008