臨床経験
上大静脈症候群を初発症状とした心臓原発血管肉腫
嶋田 直洋
1
,
塩見 大輔
,
垣 伸明
,
木山 宏
1埼玉石心会病院 心臓血管外科
キーワード:
血管肉腫
,
三尖弁
,
上大静脈症候群
,
心臓腫瘍
,
心膜
,
免疫組織化学
,
致死的転帰
,
胸骨切開術
,
三尖弁形成術
,
心膜パッチ
Keyword:
Hemangiosarcoma
,
Heart Neoplasms
,
Immunohistochemistry
,
Superior Vena Cava Syndrome
,
Pericardium
,
Tricuspid Valve
,
Fatal Outcome
,
Sternotomy
pp.370-373
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016298074
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34歳女性。顔面浮腫と呼吸苦を主訴とし、はじめ内科を受診、心エコーで右房内の腫瘤が指摘され、心臓血管外科へ紹介となった。胸部CTでは右房から上大静脈にかけて70×40×30mm大の造影効果の乏しい腫瘤が認められ、MRIでは腫瘤はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を呈した。また、右冠状動脈には有意な狭窄はみられず、右冠状動脈を栄養動脈とする腫瘍像が確認された。以上より、本症例は上大静脈症候群を来した心臓原発悪性腫瘍が疑われ、診断治療目的で腫瘍切除術が施行された。その結果、病理組織学的に心臓原発の血管肉腫と診断され、術後は経過良好で16日目に独歩退院となった。しかし、手術から2ヵ月経過で右房に局所再発し、4ヵ月後には心膜播種および多発肺転移を認めた。そのためdoxorubicin hydrochloride/ifosfamide併用療法を行なうことで、右房の再発腫瘍は50%以下に縮小し、心膜播種および肺転移巣も消失したが、12ヵ月目に小脳を中心に多発脳転移を認め、放射線治療で対処するも奏効せず、患者は術後14ヵ月目に死亡となった。
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