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症例1:44歳女。虚血性心筋症による心不全の診断で内科的治療が行われ、心カテーテルで3枝病変と診断され当科紹介となり、人工心肺使用心停止下に4枝バイパスを行った。術後1日目に人工呼吸器より離脱し、術後2日目からヘパリンの持続点滴を開始した。術後3日目に意識レベルの低下及び左共同偏視を認めた。頭部CTで後頭蓋窩硬膜下血腫と急性水頭症と診断し、緊急開頭血腫除去、脳室ドレナージ術を施行した。その後は経過良好で、後遺症なく完全回復した。症例2:79歳女。急性心筋梗塞と診断され、心カテーテルで3枝病変と診断され大動脈バルーンパンピング(IABP)駆動下にPCIが施行された。残存した狭窄病変に対する冠状動脈バイパス術目的で当科紹介となり、人工心肺使用心停止下に5枝バイパスを行った。術後1日目からヘパリンの持続点滴を開始し、酸素化が不良であったため麻酔覚醒を確認後、鎮静下に人工呼吸器管理を継続した、術後3日目、鎮静を中止したが意識レベルが回復せず、頭部CTで後頭蓋窩硬膜下血腫と急性水頭症を認め、緊急開頭術を施行した。術後、意識レベル低下の遷延があり、開頭術後2ヵ月のMRIで中脳水道の拡大を認めた。全介助が必要な状態となり、肺炎のため術後4ヵ月目に死亡した。症例3:69歳男。心カテーテルで3枝病変、心エコーでtenting heightが13mmのtetheringによるMR III度と診断され当科紹介となり、IABP挿入、人工心肺使用心停止下に4枝バイパスと僧帽弁置換術を施行した。術後3日目に循環が破綻したため経皮的心肺補助導入し、術後12日目に離脱できた。IABPは術後14日目に離脱できた。術後33日目のCTでは血腫は縮小しており、右上下肢に認めた軽度運動麻痺も徐々に改善し退院した。
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