発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005130149
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71歳女.胸痛を主訴とした.胸部単純X線にて軽い肺うっ血像と心胸郭比58%を認め,心電図にてV2~V4のST低下とV5,V6のT波陰転を認めた.緊急カテーテル検査にて前下行枝#6に25%の狭窄と回旋枝#13に完全閉塞を認め,経皮的冠状動脈形成術を施行し再開通が得られた.翌日,突然急性心不全に陥り,胸部単純X線像で急性肺水腫像を呈していた.僧帽弁後尖の逸脱があったが両乳頭筋基部は確認され,梗塞後の急性期でもあったため経過観察とした.第10病日より肺動脈楔入圧の再上昇を認め,第15病日より肺野の著明なうっ血像と両側胸水を認めた.経胸壁心エコーでは後乳頭筋起始部の高輝度を,カラードプラでは僧帽弁逆流の増悪を認めたため乳頭筋の亜断裂を疑い,心筋梗塞発症後18日に人工弁置換術を行った.左房切開したところ,後乳頭筋は先端部の7mmが完全断裂していた.病理組織所見で断裂した乳頭筋では断端筋層内に凝固壊死巣を主に認めたが,一部にマクロファージや好酸球の浸潤を伴う,やや時間の経過した梗塞像を認めた.術後経過は良好で,第52病日に軽快退院した
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