発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366072
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6歳5ヵ月女児。日齢16に動脈管依存性先天性心疾患にてalprostadilを開始した。日齢38の心カテーテルで純型肺動脈閉鎖(PAIVS)と診断し、心房中隔裂開術を施行した。日齢45にBrock手術と右modified Blalock-Taussig shunt(mBTS)を施行し、シャント閉塞のため日齢93に左mBTSを追加したが、高肺血流による心不全症状を呈した。生後5ヵ月時の心カテーテルにて右室は3部位からなり右室依存性冠循環(RVDCC)はなく、右室拡張末期容積(RVEDV)58% of Nであった。肺血流の大部分は体肺シャントより供給されており、心房間の血流が左右方向であることから両心室修復(BVR)の方針となり、右室流出路形成術と心房中隔閉鎖術を施行した。術後早期の心カテーテルで中等度の三尖弁逆流と肺動脈弁逆流を認め、重度の心不全が遷延した。術後2ヵ月の心臓超音波検査で右肺動脈はFontan循環における肺動脈血流パターンに酷似した所見を示した。アンジオテンシン変換酵素阻害薬などで治療し、10ヵ月の長期加療後に退院した。6歳5ヵ月時、就学前評価のため心カテーテルを施行したところ、心音整、胸骨左縁中部に収縮期逆流性雑音を聴取した。心胸郭比65%、右室駆出率は41%、右室収縮機能は極めて不良であった。また、右肺動脈は以前と同様のパターンを示し、右室はポンプとして機能していなかった。
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