発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256285
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45歳男。3年前に口腔底癌の手術を受けており、半年前に行われた術後全身検索目的の胸部CTで前縦隔腫瘤を指摘され当科紹介となった。胸部症状や血液異常所見はなく、上行大動脈前面に8×4cmで一部嚢腫様部分が混在した比較的境界明瞭な充実性腫瘤陰影を認め、胸骨に向かう辺縁は正常胸腺に特徴的な帆型を示していた。MRIのT1・T2強調像では高信号を呈し、内部はやや不均一で、腫瘍性病変を否定できなかった。開胸術を施行し、胸腺部分に一致して左右二葉から成る弾性硬の腫瘤を認めた。胸腺をそのまま大きくしたような形態で、腫瘤右葉下極に正常胸腺の残存と思われる組織が付着していた。腫瘤は比較的境界明瞭、表面平滑で、周囲組織への浸潤や癒着は認めなかったが、胸腺腫などを完全には否定できず、拡大胸腺摘出術を行った。術後経過良好で6日目に退院した。病理組織所見では胸腺細胞の増殖を認めたが、分葉構造は保たれ、辺縁整でHassall小体も残存しており、真性胸腺過形成と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008