発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017135913
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64歳男。血中CEA上昇を主訴とした。繰り返す胃腸炎の精査中に血中CEA高値を認め、全身検索で前縦隔の異常影を指摘された。胸部CT所見では前縦隔に分葉状の小結節が集合した形態の軟部影(5.7×1.2×7cm大)が描出され、全身FDG-PET所見では前縦隔軟部影に一致したFDG集積を認めたため、縦隔病変の生検目的で5×2.5×7cmの胸腺を摘出した。病理組織学的所見ではHassall小体とリンパ濾胞の形成がみられるも腫瘍性病変は認めず、リンパ濾胞性胸腺過形成と診断された。また、胸腺上皮細胞中にCEA免疫染色陽性細胞を認め、胸腺摘出後に血中CEAが正常化したことから、血中CEA上昇の原因は胸腺過形成と考えられた。術後2年の経過において血中CEAは正常値であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2017