発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017135906
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66歳女。胸部異常陰影を主訴とした。肺癌に対する肺部分切除後5年目のCTで右中葉のステープル近傍に腫瘤が出現し、約6ヵ月で増大傾向を示した。単純X線所見、胸部造影CT所見では右下肺野のステープル周囲に軽度の造影効果を伴う腫瘤性病変が描出され、PET-CT所見では腫瘤性病変にfluorodeoxyglucoseの集積を認めた。悪性を否定できず残存中葉を切除したところ、ステープル抜去部に一致して、緻密な線維性構造物を背景に多核巨細胞を含む類上皮細胞肉芽腫を認め、ステープルに対する異物反応を伴う肉芽腫と考えられた。術後6ヵ月、1年後のCTで腫瘤の形成は認めていない。本例は上中葉間不分葉のため肺瘻予防を優先してステープラーを使用したが、自動縫合器に関連した合併症としてステープル周囲肉芽腫も念頭に置き、術前のインフォームド・コンセントも含めて留意する必要があると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017