発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005166480
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60歳男.右S1と左S6の両側肺癌に対する二期的な両側肺切除の既往歴があった.左S6区域切除1ヵ月後,胸部CTにて切除断端ステープル線に沿った浸潤影を認め肺炎と診断,抗生物質を使用し改善していた.今回,区域切除2年後のCTにて同部位に肺実質を充満する肺胞充満像の出現を認め,診断・治療を目的に開胸腫瘤生検を施行した.腫瘤は径4cmの硬い腫瘤で,S6区域切除後断端からS10まで広がっていたため,残存する左肺底区域を切除した.病理組織学的に乾酪壊死を伴わない肉芽腫性病変で,Ziehl-Neelsen染色ではMycobacterium tuberculosisよりやや大型の菌体を認めた.病理標本のpolymerase chain reactionの結果から,Mycobacterium intracellulareによる非定型抗酸菌感染症と診断した.経過は良好で,術後14病日に退院した.術後6ヵ月現在,再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005