発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236403
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳男。咳嗽を主訴として近医受診し、左下肺野に異常陰影を指摘され当科紹介となった。CTで左S9に最大径3cmの腫瘤を認め、胸膜陥入を伴っていた。また間葉リンパ節の腫大を認めた。気管支鏡による擦過細胞診で腺癌が証明され、cT2N1M0、c-stage IIBの診断で左肺全摘術およびリンパ節郭清を行った。気管支切離にはステープラーを用い、気管支断端の被覆は施行しなかった。術翌日より著明な咳嗽が持続し、X線では左肺野の鏡面像は順調に上昇していたが、第23病日に鏡面像低下を認めた。気管支鏡で気管支断端に複数のステープルの脱落を認め、気管支断端瘻と判断した。切除断端陽性でもあったことより第29病日に再切除術を施行した。左肺門部に主肺動脈断端、上肺静脈断端、主気管支断端を確認し、主気管支膜様部と器質化組織を鋭的に剥離して食道壁から遊離させ、横隔神経背側で心嚢壁を開き、心嚢内で上肺静脈、左主肺動脈をステープラーで切り離し、気管支との間を遊離させた。左主気管支をステープラーで気管分岐部側で遮断し、メスで切り足した。新しい断端は3-0合成非吸収糸7針の結節縫合で補強した。術後咳嗽は消失し、2週目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008