発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236411
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50歳男。検診で胸部異常陰影を指摘された。CTで左胸腔内に4.3×3.2cmの境界明瞭な卵円形腫瘤を認め、MRIのT1・T2強調像では均一な高信号を呈した。腫瘤は横隔膜に接して辺縁はなだらかな立ち上がりを呈して存在し、横隔膜の連続性は保たれており、横隔膜への浸潤はなかった。横隔膜由来の脂肪腫と考えたが、悪性を否定できないため、診断・治療目的に手術を施行した。胸腔鏡下に腫瘍を横隔膜より剥離し、横隔膜付着部付近でステープラーを用いて切離し摘出した。病理組織所見で、腫瘍は成熟分化した脂肪組織より成り、脂肪腫と診断された。術後経過良好であったが、4年後の検診で再度胸部異常陰影を指摘された。CTでは前回切離部のステープル部を取り囲むように脂肪濃度の腫瘤を認め、MRIでは横隔膜を超え後腹膜脂肪織へ及んでいるようであった。脂肪腫の再発あるいは脂肪肉腫と考え、開胸術を施行した。横隔膜上の黄白色調の腫瘍を辺縁より2cm離して周囲横隔膜を合併切除し、後腹膜の脂肪織も含めて切除摘出した。横隔膜欠損部は吸収糸で直接縫合閉鎖した。病理所見は成熟脂肪腫の像で、局所再発と診断した。術後4年経過し、再発徴候はない。
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