発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000784
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69歳女。約18年前より左横隔膜上の異常陰影を指摘され、前医で経過観察されていたところ徐々に増大した。CTで左横隔膜上に内部造影効果のない脂肪濃度を示す5×6cmの丘状の腫瘤影を認め、横隔膜は一部で途絶していた。MRIで腫瘍はT1、T2強調像、T1強調脂肪抑制像のいずれでも皮下脂肪と同等の信号を示した。横隔膜の途絶所見と腹腔内より続く脂肪様の軟部陰影から、大網を内容としたBochdalek孔ヘルニアとの鑑別が必要であったため、開胸下腫瘍摘出術を施行した。手術所見で黄色調、ドーム状に隆起し、表面平滑な5cm大の広基性腫瘤を認め、これを摘出した。病理組織所見で線維性隔壁を有する成熟した脂肪細胞の増生からなる結節状の組織を認め、脂肪腫として矛盾せず、悪性像は認めなかった。脂肪細胞と横隔膜との間に筋膜は介在せず、筋細胞間へと連なる脂肪細胞を確認できた。以上より、横隔膜原発脂肪腫と診断した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014