発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012219129
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症例は71歳女性で、微熱と食欲低下が続き、近医で胸部異常影を指摘された。胸部X線で右横隔膜に重なる位置から右胸腔へ凸に存在する陰影を確認し、MRIのT1強調画像では全体的に低信号、T2強調画像で高信号、内部不均一であった。胸膜由来腫瘍を疑い、胸腔鏡下にアプローチしたところ、広基性、充実性、易出血性病変であり、横隔膜を貫通して肝浸潤の可能性が判明し、開胸術に移行した。最終的に肝漿膜と横隔膜の一部を合併切除し、横隔膜欠損部は直接縫合が可能であった。摘出標本は約11×9×3cmの充実性腫瘍で、病理組織学的には大小不同の類円形の核と紡錘形の胞体を持つ細胞が密に増殖した部分と、浮腫が目立つ間質を背景に大小の拡張した血管様構造が増殖した部分が混在していた。前者では不明瞭な花むしろ構造や核の柵状配列がみられ、核分裂像も少数認めた。免疫染色ではCD34とビメンチンに陽性であった。術後経過良好で、5年8ヵ月後も再発徴候はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012