発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011338813
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72歳女性。患者は66歳時に子宮体癌(高分化型腺癌、grade 3、Ib期)にて手術(拡大子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤内リンパ節郭清術+傍大動脈リンパ節郭清術)が施行されたが、4年後に右肺底区横隔膜面に転移性腫瘍を疑われ、化学療法が施行された。だが、一時的に縮小が得られたものの再増大したため、手術目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、胸腹部CTおよびMRI所見では肝頂部から下大静脈にかけて腫瘤影が認められ、右肝静脈への浸潤も疑われた。臨床経過から転移性肺腫瘍の肝浸潤と考え、治療として肝浸潤部に対し肝部分切除が行われ、腫瘍を右肺基底区域、肝と一塊に摘出した。更に浸潤を認めた右肝静脈は部分切除形成術を行い、欠損した横隔膜はGore-Texシートで再建した。その結果、切除標本の病理組織学的所見では腫瘍は一部管状増殖を呈した腺癌で、grade 3の子宮体癌転移によるものとして矛盾しなかった。尚、術後はドレーン抜去後に胸水貯留、炎症反応の遷延が認められ、胸腔穿刺ドレナージにより軽快退院となったが、18ヵ月経過で胸骨傍リンパ節に転移再発を認めている。
©Nankodo Co., Ltd., 2011