発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236409
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60歳男。下肢浮腫、咳嗽が出現し、徐々に増悪した。心エコーで右心房内に60×40mmの腫瘤を認め、拡張期に三尖弁に入り込み、腫瘤は下大静脈より連続していた。胸腹部CT・MRIでは右副腎に腫瘤を認めたが、下大静脈内腫瘍との連続性はなく、右腎静脈内にも腫瘤陰影は認めなかった。下大静脈造影ではL3レベルで完全閉塞を認め、奇静脈を介し右心房が造影された。緊急手術を施行し、右房内腫瘤は黄色、表面凹凸は寒天様軟で、右房内に茎はなく、下大静脈へと連続していた。右房内腫瘤を摘出し、下大静脈内の腫瘤を剥離摘出したが、下大静脈壁に浸潤している印象で、完全な摘出は困難であった。術後心不全症状は改善し、病理組織所見で腎細胞癌と診断されたため精査を行ったが、腎内腫瘤は認めなかった。しかし右副腎腫瘤は転移の疑いがあり、腹膜播種も認めたため根治手術は不適応と判断され、インターフェロンを中心とした免疫療法を継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008